ワクチンに関する
よくある質問

現場で役立つワクチンに関するQ&A

 インフルエンザ

 日本脳炎

 B型肝炎

 A型肝炎

 4種混合

トップ インフルエンザワクチン

1  インフルエンザワクチンの接種回数と2回接種の場合の接種間隔についての考え方を教えてください。また、接種時期はいつがよいでしょうか?

2  今シーズンのインフルエンザワクチンとワクチンの有効性について教えてください。インフルエンザの予防には、ワクチン接種を毎年継続したほうがよいですか?

3  不活化インフルエンザワクチンの接種にあたり、薬剤(免疫抑制剤や抗がん剤、γ-グロブリン製剤、抗微生物薬など)、他のワクチン、麻酔との関係や注意点について教えてください。

4  小児におけるインフルエンザワクチンの用法・用量と有効性・安全性について教えてください。

5  他のワクチンとの接種間隔はどのように考えたらよいでしょうか?また、同時接種について教えてください。

他にもまだまだ
お役立ち情報公開中!

[ 一覧を見る ]

             

月刊ワクチン情報

国内外の最新情報をわかりやすくお届け

2019年8月号

麻しんのアウトブレイクに係る費用を考察する

1病院の院内感染アウトブレイクにおける経済的損失―ドイツ 2017年2~3月、ヘッセン州にあるA病院において、麻しんのアウトブレイクが発生した。麻しんと実験室診断された1患者(初発例)の入院後、初発例の診療には予防接種歴のある医療従事者のみがあたっていたが、初発例に直接接触しなかった医療従事者10名が麻しんを発症した。 A病院は医療従事者の麻しん抗体価などの記録を調べたが、確かな記録は非常に少なかった(5%未満)。そこで、医療従事者1,691名のうち、休職者を除く1,443名に麻しんIgG検査を実施し、1,379名(95.6%)が陽性と判明。陰性または偽陽性の64名(4.4%)のうち、妊婦2名を除く62名にワクチンを接種した。 アウトブレイクの終息宣言後、A病院における経済的損失が計算された。抗体検査・予防接種などの費用は30,000ユーロ(約360万円)で、全体(総額700,000ユーロ〔約8,400万円〕)の4.3%に過ぎなかった。赤字の大部分は、入院患者の先延ばしや入院の取りやめなどによる、事後約3年間の見込み収益の損失(455,000ユーロ,〔約5,460万円〕:65.0%)で、休職者が多く出てマンパワー不足に関連した赤字も約3割(215,000ユーロ,〔約2,580万円〕:30.7%)を占めた。 アウトブレイクにより生じる費用や風評による収益損失は病院経営に関わるため、日頃から医療従事者の予防接種歴を確認し、未接種者がいないよう予防接種のギャップを埋めることが特に重要である1)。 ※本稿で記載している日本円は、1ユーロ=120円、1ドル=110円で換算した金額です。 麻しん排除後の麻しんアウトブレイクで考慮すべき3つの観点―米国 Sundaramらは、麻しん排除後時代のアウトブレイクに係る費用には、経済的コストと免疫学的負荷があると述べている。 経済的コストは、追跡者数や場所、曝露後予防(ワクチンや免疫グロブリン)の数量、隔離患者数などにもよるが、麻しん患者一人あたり14.2万ドル(約1,562万円)に上る。2011年の米国における麻しんアウトブレイクの総費用は、270万~530万ドル(約2億9,700万円~5億8,300万円)と推算されており、これには曝露後予防の費用、実験室診断費用、医療従事者などの超過勤務報酬、住民への予防関連費用、患者の隔離費用などが含まれる。麻しんアウトブレイクの制御には、地域の産業にも大きな財政負荷がかかる。 また、経済的コストだけでなく、免疫学的負荷も考慮する必要がある。麻しんウイルスに感染した後は免疫抑制状態に陥り、二次性の細菌・ウイルス感染を起こしやすい。中耳炎・下痢・肺炎などを含む二次感染は罹患率や死亡率に影響を及ぼし、麻しんウイルスの感染後2~3年にわたり、あらゆる原因による死亡率の上昇にも関わる。また、免疫学的健忘や日和見感染が生じたり、乳幼児期の麻しん以外のワクチンの免疫応答にも影響する。このように、麻しん罹患は単独の事象ではなく、罹患後も免疫学的には長期的にコストがかかる。 ほかに、アウトブレイク発生時には迅速かつ適切な対応が求められるため、他の業務や部署からも人材が動員される。通常業務を妨げるなどの負担が医療システムの基盤を揺るがしかねない。以上のような経済的コスト、長期免疫学的影響、医療システムの観点から考慮して、アウトブレイクに備えるべきである2)。 表.麻しんのアウトブレイクに係る費用―ドイツ、米国、ルーマニア 文献1-3)より作表 麻しんと風しんの同時アウトブレイクにおける経済的負荷―ルーマニア  2011~2012年に、ルーマニアで麻しんと風しんの同時アウトブレイクが発生した。患者報告数は、麻しん12,427例、風しん24,627例、先天性風しん症候群(CRS)27例で、アウトブレイクの費用は990万ドル(約10億8,900万円)に上り、患者一人当たりでは、麻しん439ドル(約48,290円)、風しん132ドル(約14,520円)、CRS 44,051ドル(約4,845,610円)であった。 治療費の支払いのため、最大36%の世帯(患者の家族)が借金をし、患者の約17%は罹患中も仕事を続けざるを得なかった。ルーマニアでは、平均収入に対して治療費は高額で、麻しんの治療費は月収の30%、年収の3%、風しんの治療費は月収の9%、年収の1%に相当する。東欧諸国では、治療費の支払いができないため、受診を先延ばしにしたり、控えざるを得ない患者が60%に上るとも報告されている。ルーマニアの同時アウトブレイクでは、患者とその家族は健康問題に加えて経済危機にも直面し、長期にわたる経済的影響を被った。定期接種の徹底でアウトブレイクを防ぐことは、健康関連の経済的負荷も削減することになる3)。 文献 Hiller U, et al.: Vaccine. 37(14): 1905-1909, 2019. Sundaram ME, et al.: JAMA. 321(12): 1155-1156, 2019. Njau J, et al. Emerg Infect Dis. 25(6): 1101-1109, 2019.

バックナンバー

2019年7月号     

ポリオ―世界における根絶に向けた進展状況、2017年1月~2019年3月

2019年6月号     

予防接種への躊躇(vaccine hesitancy)―海外の事例と対応

2019年5月号     

2018/19シーズンのインフルエンザワクチンの有効性解析(中間報告)― 米国・欧州

2019年4月号     

米国における予防接種スケジュール―2019年

2019年3月号     

百日咳に関する最新情報

[ 一覧を見る ]

Hot Topics

ワクチン - 予防接種関連情報

2019年8月9日

百日せき含有ワクチンの接種状況別罹患リスクと有効性に関する検討―米国

2019年7月12日

高病原性鳥インフルエンザH7N9のヒト感染症例―2019年3月、中国

前のトピックス

2019年6月19日     

世界各地域で麻しん報告数の増加が続く

2019年5月29日     

海外におけるA型肝炎のアウトブレイク―台湾、米国

2019年5月15日     

ワクチン接種歴のある医療従事者が麻しんを発症

2019年4月19日     

百日咳流行株の分子疫学

[ 一覧を見る ]