ワクチンに関する
よくある質問

現場で役立つワクチンに関するQ&A

 B型肝炎

トップ B型肝炎ワクチン

1  B型肝炎とはどのような疾患ですか?

2  保育施設などの集団生活の場や家族内でも感染しますか?

3  HBVの再活性化(de novo肝炎)について教えてください。

4  B型肝炎ワクチン定期接種化の経緯について教えてください。

5  ワクチン中に添加されているチメロサールは安全ですか?

他にもまだまだ
お役立ち情報公開中!

[ 一覧を見る ]

ワクラボ News Letter

国内外の最新情報をわかりやすくお届け

Vol.05

百日咳と百日せき含有ワクチンUp-To-Date

1.新生児の百日咳抗体保有状況調査から国内で、新生児の百日咳抗体保有状況を調査した研究報告が出された。2報を紹介する。宇野ら1)は、2018年7月より熊本県の一病院に通院・入院している妊婦50人(平均年齢: 29.5歳)を対象として、妊娠第36週目から出産までの間の妊婦、出産直後の臍帯血、生後1か月(生後23~37日目 平均: 32.9日)の児からそれぞれ採血し、百日咳毒素(PT)および線維状赤血球凝集素(FHA)に対する抗体価を測定した。 結果を表1に示す。 妊婦と臍帯血の抗体陽性率を比較すると、PTは40.0%→48.0%、FHAは62.0%→80.0%、また、幾何平均抗体価(GMT)比はPTが1.34, FHAが1.51といずれも妊婦から臍帯血へ濃縮されて移行した。しかし、臍帯血から生後約1か月齢児での移行抗体によるPTおよびFHAに対する抗体陽性率は、16.3%および34.7%まで減少し、GMTも4.5 EU/mLおよび7.0 EU/mLと陽性基準(10 EU/mL以上)を下回った。宇野らは、調査対象となった児において、百日せき含有ワクチン接種による免疫獲得までの児は、百日咳への罹患リスクが高い状況にあると述べている。 一方、Takemotoら2)は、新生児のPTに対する抗体価を在胎週数別に比較検討し、母親の同抗体価も調査した。対象は、2016年4月から2018年3月までの間に、愛知県の一病院の新生児集中治療室(NICU)に入室した新生児206人、および母親170人(年齢中央値: 33.9歳)である。母親は経腟分娩後3日目、または帝王切開分娩後7日目に、新生児は生後1週間以内に採血を行った。結果を表2a, bに示す。母親全員のPTに対する抗体陽性率およびGMTはそれぞれ、52.4%, 10.7 EU/mLであった。年代別にみると、有意差はみられないものの30代が他の年代より低い(表2a)。 これは、ジフテリア・破傷風・百日せき混合(DTaP)ワクチンが定期接種化されて間もない頃の接種対象者で、接種率が低かったことが原因として考えられた。新生児全員のPTに対する抗体陽性率およびGMTはそれぞれ、51.9%, 9.7 EU/mLであった。在胎32週未満児ではそれぞれ、13.6%, 3.2 EU/mLで、在胎32~36週児および在胎37週以上児よりも有意に低かった(P<0.01)(表2b)。 また、母親の抗PT-IgG値が5 EU/mLより高い値を示す母子137組の経胎盤移行率は平均104.1%であった。在胎週数別にみると、在胎32週未満児は42.5%で在胎32~36週児、在胎37週以上児に比べて有意に低かった(P<0.01)。さらに、在胎週数30週(中央値)の新生児21人に対して抗体価を2回(平均4.3週の間隔で)測定したところ、陽性であった5人のGMTは1回目: 21.1 EU/mL, 2回目: 10.0 EU/mLで減少率52.6%であった。以上より、本研究では、新生児の約半数が防衛可能な百日咳抗体を有しておらず、特に早産児ほど低い。また、同抗体価は4~5週で半減することが示唆された。 2.妊婦への百日せき含有ワクチン接種に関するシステマティックレビューから幼若乳児を百日咳から守るために、世界では40か国以上で、妊婦への百日せき含有ワクチン接種が行われている。Kandeilら3)は、世界における乳児の百日咳疾病負荷、および妊婦への百日せき含有ワクチン接種の有効性などに関するシステマティックレビューを行った。 結果1.乳児の百日咳疾病負荷: 世界における生後2~3か月未満児の百日咳罹患率は、アウトブレイク時には人口10万人対1,000を超えることが示された。また、百日咳による死亡例の大半は、この年齢層に発生している。地域別では、WHOアフリカ・東地中海・アジア地域のデータは限られるものの、これらの地域における百日咳の疾病負荷は、WHOヨーロッパ・アメリカ地域と比べて同等かそれ以上に高いことが示唆された。 結果2.妊婦への百日せき含有(Tdap*1)ワクチンの有効性と課題: 多くの研究において、生後3か月までの児の百日咳予防に対する母親(妊婦)へのTdapワクチン接種の有効性(VE)はおよそ90%で、その月齢以降は低下することが示されている。しかし、百日咳関連入院に対するVEは、生後2か月児で58.3~90.5%、生後6か月未満児では75~94%であった。生後3か月以降、防御効果は減衰することが示唆されているものの、入院を要する重症百日咳に対しては、母親のTdapワクチン接種の効果は少なくとも生後6か月まで持続することが示唆された。 現在まで、母親のTdapワクチン接種の百日咳疫学への影響を評価した研究は少ないが、アルゼンチンと英国における解析では、同予防接種プログラムは、児のワクチン接種開始前の百日咳疾病負荷を低減させる目標を達成していることが示唆されている。また、米国の大規模な保険請求データベースを用いた研究では、2012年に米国予防接種諮問委員会(ACIP)が母親へのTdapワクチン接種を推奨した時と同じくして、乳児の百日咳による入院率は48%減少したことが観察された。一方、妊婦へのTdapワクチン接種では検討課題もある。課題の一つは、妊娠中の最適な接種時期である。VEの点からは、妊娠早期よりも妊娠第3三半期がより有効とする一方で、入院に対するVEはどの妊娠期でも同等に高いとする報告(Skoffら、2017年)がある3)。前出のTakemotoら2)は、早産の可能性がある妊婦には、より早期の接種が必要である可能性が高いと述べている。出生児に最大の防御効果を付与し、安全に接種でき、接種率が高くなるなど種々の条件から最適な接種時期は選定すべきと考えられる。 課題の二つ目は、母親がTdapワクチン接種を受けた出生児の百日せき含有ワクチンの接種時期である。母親からの移行抗体が、児のワクチン接種による獲得免疫に影響を及ぼす可能性、すなわち干渉の問題である。Martinón-Torresら4)は、妊婦(妊娠週数27-36週)をTdap接種群、プラセボ接種(コントロール)群に割り付けたランダム化試験において、試験対象の妊婦から出生した児の6種混合ワクチン(DTaP-HepB-IPV/Hib)初回免疫後および追加免疫後の百日咳抗原およびジフテリアに対する抗体価は、Tdap接種群よりもコントロール群のほうが高かったと報告した。一方、Abu-Rayaら5)は、母体からの移行抗体により高い抗体価を有する児は、DTwP*2ワクチンを接種すると干渉が起こるが、DTaP*3ワクチン接種では起こらない可能性を示している。Barugらは、母親が接種を受けた場合、出生児は生後3か月まで初回接種を遅らせるべきと述べており、オランダでは2018年に世界で初めて、接種を受けた母親からの出生児では、2回の接種時期を生後3, 5か月とし、接種を受けていない母親からの出生児とは異なる接種スケジュールを推奨した3)。 *1Tdapワクチン:破傷風トキソイドと抗原量を減量したジフテリアおよび百日せきを含む3種混合ワクチン。本邦未承認。 *2DTwPワクチン:全菌体百日せき含有3種混合ワクチン。本邦では使用中止になった。 *3DTaPワクチン:無細胞百日せき含有3種混合ワクチン。本邦でも承認されている。 3.国内の百日咳疫学状況と百日せき含有ワクチンに関する動向 2018年1月から百日咳は5種類全数把握対象疾患になり、4年目となった。国立感染症研究所によると、2019年の患者報告数は15,974例(届出ガイドラインの基準に合致する症例)で、年齢分布をみると、7歳をピークとした5~15歳未満児が63%ともっとも多く、30~50歳代が16%、6か月未満児は5%を占める。全体の57%に4回の百日せき含有ワクチン接種歴があり、5~15歳未満に限定すると81%であった(図)6)。 現行の予防接種プログラムによる百日せき含有(DTaP)ワクチンの有効性および接種後経過年数の影響などを検討する多施設共同症例対照研究が、厚生労働省研究班によって行われている。 Test-negative designの手法により、症例(百日咳確定診断例95人)vs. 検査陰性対照(50人)でDTaPワクチンの有効性を検討した結果、4回接種(ref. 未接種)の有効率は61%(95%CI: -128-93%)であった。また、年齢層別にワクチン有効率を検討したところ、6歳未満児では4回接種の有効率は90%(95%CI: -20-99%, P=0.07)と境界域の有効性を示したが、6歳以上児では4回接種の有効率は-18%(P=0.90)であった。ワクチン4回接種者に限定して年齢や接種後経過年数の影響を検討したところ、年齢9歳以上(OR=4.46, 95%CI: 1.47-13.5)、接種後経過年数5.9年以上(OR=6.29, 95%CI: 1.71-23.1)で、百日咳発症に対するORが有意に上昇した。 このように、百日咳含有ワクチン4回接種の有効率は6歳以上児では減弱し、年齢9歳以上、接種後経過年数5.9年以上では百日咳の発症リスクが上昇していることから、就学前から小学校低学年の段階で追加接種が必要と考えられると報告されている7)。2021年2月、合同学術団体である予防接種推進専門協議会は、厚生労働省に対して、就学前児へのDPTワクチン追加接種の定期接種化を要望した8)。 文献 宇野信吾 ほか: 日本周産期・新生児医学会雑誌. 56(3): 386-391, 2020. Takemoto k, et al.: Jpn J Infect Dis. 73(3): 231-234, 2020. Kandeil W, et al.: Expert Rev Vaccines. 19(7): 621-638, 2020. Martinón-Torres F, et al.: Vaccine. 39(11): 1598-1608, 2021. Abu-Raya B, et al.: Pediatrics. 146(3): e20193579, 2020. 国立感染症研究所 感染症疫学センター・同細菌第二部: 全数報告サーベイランスによる国内の百日咳報告患者の疫学(更新情報)-2019年疫学週第1週~52週-. 2020年1月8日現在. 厚生労働行政推進調査事業費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業).ワクチンの有効性・安全性の臨床評価とVPDの疾病負荷に関する疫学研究. 令和元年度 総括・分担研究報告書. 令和2年3月.研究代表者: 廣田 良夫. 百日咳分科会 分科会長: 岡田 賢司. 予防接種推進専門協議会: 不活化ポリオおよび3種混合ワクチン追加接種の定期接種化に関する要望. 2021年2月8日.

バックナンバー

Vol.04     

世界の定期予防接種率とインフルエンザワクチンの接種率

Vol.03     

インフルエンザとCOVID-19

Vol.02     

インフルエンザワクチン接種の重要性と院内感染対策~新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行に備える~

Vol.01     

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)~これまでの知見とワクチン関連の話題~

[ 一覧を見る ]

Hot Topics

ワクチン - 予防接種関連情報

2021年7月28日

COVID-19流行時の予防接種の実施

2021年7月19日

高齢者に対するインフルエンザワクチンの有効性

前のトピックス

2021年4月1日     

HBVの再活性化(de novo肝炎)について教えてください。

2021年4月1日     

B型肝炎ワクチン定期接種化の経緯について教えてください。

2021年4月1日     

ワクチン中に添加されているチメロサールは安全ですか?

2021年4月1日     

3回接種において、異なるメーカーのワクチンを接種しても互換性はありますか?

[ 一覧を見る ]